徒然防備録(エロゲ、アニメ評価感想その他諸々)

更新は超不定期です。書きたくなった時にふと書いてます。参考になれば幸いです、なんて言ってる人は信用してはいけません。参考になれば幸いです。

え……?【喫茶ステラと死神の蝶】雑感

おはようございます。今回は信じ難いことにゆずソフトの準新作である


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『喫茶ステラと死神の蝶』

をプレイしました。

なぜ信じ難いかと言いますと、それは遡ること数ヶ月前……。私はとある宣言をしました。それが「ゆずソフトの作品はもうプレイしない」ということです。……にも関わらず私が今回この作品をプレイしたのには海よりも深い理由がある……ということはありません。理由としては主に3つです。

1つめは、直近でやった作品が微妙だったから口直し的な作品を探していた ということです。これはまあ前回の記事を読んでいただけば分かるのでここでは特に語りません。ただこの口直しをするにあたってリアルの都合と言うか、モチベーション的なものと言うか、そんな理由であまり重い作品はやりたくなかったんです。なのでまあ比較的ソフトに楽しめる、要はキャラゲーを探していました。

2つめは、この作品が既に(サノバウィッチをプレイするよりも前に)購入していた『積みゲー』だった ということです。本当に我ながら何度もアホだなあと思うのですが、1、2年ほど前は特に、私はセールの度にポチポチしまくる積みゲー量産機でした。で、まあこれも、ついでに言うと直近で記事を書いた『恋する乙女と守護の楯』もその時に買っていたもので、未だに購入済み商品のページに行くと何十もの作品がこちらに笑いかけてきます。

3つめは、本当にゆずソフトの作品はその程度なのか? ということです。まあこれは要するに、「評価されている以上は何か本当はもっといいブランドなのでは」という何かモヤモヤした気持ちがあったということです。

 

とまあこんな感じでちょうどやってみたわけですね。

てなわけで前置きはこの辺りで本文に入ります。

以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。

 

 

 

 

 

 

とりあえず、の感想としては

「いや、まじか……?」と率直に思いました。と言うのも『サノバウィッチ』とは比較にならないほどに良くなっていたからです。私は「サノバウィッチはもう抜きげーだろこれは」という感じのことを言いました。今でもそうだと思っています。でも本作はぜんっぜん違いました。きちんと、自信を持って言えるキャラゲーでした。

この違いの理由としては、まあサノバウィッチの記事と重複する部分もあるので詳細は語りませんが、一言で言うならキャラストーリーが大幅に進化していたからです。それに尽きます。前作は全体を通して薄すぎるストーリーに、そんなうっすい個別シナリオの中でなぜか結ばれる二人。そして個性のないヒロインと、まさに惨憺たるものでした。今作はそれの真逆、とまでは言えませんが、少なくともサノバウィッチのように評価するに値しない作品なんかでは無いとはっきり言えます。

まあ要するに思っていたよりも良かったです。驚きました。やって良かったと思います。もちろん作品の質という意味ではありません。『ゆずソフトの作品について考え直すきっかけになったから』というのと、それとやや被りますが『自分の中での疑念(上述した3つめの理由)が解消されたから』です。

まあ内容に関してはさほど語るつもりもありませんので早速評価記事を、と行く前に何となく今日は元気があるので超絶死ぬほど珍しく、書ける範囲で個別ルートについてのあれこれを雑に書いてみようと思います。確実に今年最後です。場合によっては人生最後かもしれません。

まず、私がプレイした順番としては、

①栞那 ⇒ ②涼音 ⇒ ③愛衣 ⇒ ④希⇒ ⑤ナツメ

という順番でした。

本来であれば、メインっぽいのは最後にやるのですが、今回は、サノバウィッチが酷かったということもありさすがにモチベーションの維持が難しそうだなと思い、あえてメインからやってみることにしました。まあ結果後悔することになった部分は無きにしも……ですが。

①に関しては、特に言うことはありません。正直話自体のまとまりもよく、ちゃんと諸々の問題を解決しつつ、合理性もあり、展開もあり、そして結ばれることにも納得のいく理由があり、と、キャラゲーに求められるクオリティとしてかなり素晴らしいものだったんじゃないかなと率直に思います。と言ってもいくつかご都合、と言うか気になる部分もありましたがまあ目をつむれる範囲でした。

②に関してもそれで言うと良かったと思います。いえ良かったというのには多少語弊がありますね。善し悪しを語る段階ではありません。と言うのもそもそもおまけみたいな立ち位置ですし、尺があまりにも短いショートストーリーみたいな感じだったのでまあ単純に何かあって結ばれて、はい幸せですね〜って感じだったので。ただそこに関して不快だったりとかということも無く、波風立たない感じでまあオマケに求められるものは十分に満たしてはいた、という感じでした。問題はここからですね。

③ですが、個人的にこれが一番の問題シナリオだったと思います。

前半部分、つまり結ばれるまではまあ良いです。ちょっと奥手なヒロインと奥手な主人公が結ばれるまでをまあ良く言えばめちゃくちゃ丁寧に書いていました。

後半がまずかったです。

具体的に挙げると女子会の部分。あれはキャラ崩壊です。全くもってデリカシーの欠片もないヒロインたち。そして(成績が悪いキャラクターにも関わらず)テスト前日に猥談で時間を潰す、とまああまりにも歪でした。やりたいことがあるのは分かりますが、それにキャラクターを無理やり従わせるのは最悪です。これはまあ面白くないストーリーだったり没個性的なキャラクターが出てくる作品にはありがちですが。さすがに目にあまりました。それにヒロインが奥手にも程がありすぎます。どこぞのお嬢様で、キスも何も知らない清純で無垢なヒロインだとでも言うなら分かりますが、そうでもありません。女子校でそういう話も聞かされている、性癖とかそういう話も分かる、という後輩キャラでそれは無理がありませんか?

私としては、これはもうこのシナリオの人が女子会(クソ寒)にハマってしまってそれをやりたくて仕方がなかったのか、あるいは規定のシナリオボリュームに達しなかったから無理やり展開を遅くしたのかのどちらかだと思っていますが。

終盤の展開も何となくとっ散らかっていたように感じます。

ですが、最大の問題はそこにはありません。

最大の問題はこのルートだけが唯一、「嫌がらせ」だとか「イジメ」みたいな汚い部分をストーリーの核としているところにあります。これは本当にこのブランドに求められているストーリーなのでしょうか。つまり需要はあるのでしょうか。あくまで私の感覚ですが、求められていないと思います。サノバウィッチと、本作の他ルートをやって感じたことですが、このブランドに求められているのは『何か多少無理ある部分はあってもご都合でヒロインと結ばれて最後には幸せだね!』みたいなシナリオだと思うんです。これは貶している訳でも無く、実際割と難しいとも思います。展開を作れる要素を自ら縛っている訳ですから。でも恐らくそれが老舗となったこのブランドに求められているものだと私は思っています。なので多少荒っぽい部分は許容しています。

話を戻しますと、この暗黙の了解みたいなものがこのシナリオだけは無いんです。隣のルートはキャッキャウフフしてるのにこのルートだけが陰鬱、とまではいきませんがそういう方向性でストーリーを進めている。それがどうにも異端であり、需要のないことのように思いました。端からそういう世界観の元でのストーリーならいいですけど、でもねえ……。

というわけでこのルートは個人的に最悪でした。私は一応Hシーンも手動オートみたいな感じで読んでいるんですが、Hシーンもクソ寒いボケかますし雰囲気も最悪で、そういう意味でも異端だと思いました。真偽はともかく、シナリオを書いている人の照れ隠しかなんかなのかなーと感じました。もう少し真剣にシナリオを書くことに取り組んで欲しいと思いました。

とりあえず全体的にクオリティとしては最低だったということです。

④についてもまあ、何か気になる部分はありました。

③よりも終盤の展開がドタドタしている感じとか、展開が多少無理がある部分があるとか、ギャグが寒いとか。

まぁですがこれに関してもワーストな部分はそこではありません。最悪なのは、途中からこのルートのヒロイン、すなわち希の声が変わっていたことです。具体的にはChapter8からですね。わたしもはじめは「ん? 聞き間違えか?」ぐらいの感じだったのですがやっぱりどうしても違和感が拭えず、雑に比べた感じ、やはり明らかに違いました。chapter8という終盤も終盤の重要な『結』の部分。にも関わらず声が明らかに違う、はさすがにまずいでしょう。普段そういうのを気にしない私ですら思ったので私よりもそういった部分重視する方には不自然極まりない状態だったと思います。キャラゲーの、盛り上がり部分で声が違うなんてさすがにやばいです。これはまあ声優の方の問題という感じもしますが、何とかできなかったのでしょうか。私もこんな経験初めてだったので割と驚きましたが、声優の人は凄いということを再認識させられました。

⑤についてもまあ特筆すべき点はありません。良くも悪くも無難という感じで、個人的に一番退屈でした。(適当)

 

とまあ、こうして振り返ると酷い部分もありましたが、少なくとも「サノバウィッチと比較すると顕著な程に語ることがあるな」という感じです。

キャラゲーとして最高だ! なんてことは言えませんが私もゆずソフトの作品を今後やってみてもいいのかもしれないと思うきっかけにはなりました。

最後に言っておくと、外側(sd,cg,立ち絵、システム等)の部分はさすがだなと思いました。雑ですみません、さすがに疲れました。

おやすみなさい。

【喫茶ステラと死神の蝶】評価


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※本記事はネタバレを含みません。

 

概要

・作品情報

ブランド:ゆずソフト

作品名:喫茶ステラと死神の蝶

発売年:2019

ジャンル:ADV

URL:https://www.yuzu-soft.com/products/stella/

 

 

・あらすじ

主人公、高嶺昂晴は何気ない学生生活を送っていた。
だがある日、不慮の事故で命を落としてしまう。
そこで予期せぬことが起きた。
死んだはずだった高嶺昂晴が、目を覚ましたのだ。

しかもそれは──死ぬ当日の朝だった。
わけがわからないまま、もう一度、同じ一日を過ごす。
予知夢やデジャブのようなものではなく、一日の流れが全く同じ。
あまりの事態に恐怖を覚えながらも、死んでしまった、事故の場所を訪れた。
そして事故の瞬間──
彼は‘‘死神’’と‘‘人語を喋る猫’’と出会った。

そして告げられる言葉。

「死はまだ回避できていません」

高嶺昂晴は死ぬ運命から逃れるために、死神の仕事を手伝うことになる。
その方法とは、何故か喫茶をオープンさせることであった。

世界を巻き戻し、‘‘死’’という現実を乗り越えた、高嶺昂晴。
だが引き寄せる‘‘死’’の因果からは逃れられない。
これは、己の運命と世界に挑みつづける1人の男の恋の物語──なのかもしれない?

(公式より引用)

 

 

データ

・プレイ時間

≒44(時間)

※1. オート/同じシーンはスキップした上での時間です。

※2. Afterストーリーは含みません。

※3. ざっくり内訳としては、共通9時間、ヒロイン平均8時間、サブヒロインのみ3時間。

 

・構成

共通→個別 のシンプルな形式。共通部分の選択肢で好感度を上げたヒロインのルートに入る。また、選択肢によるシナリオの変化部分はそこそこある。(数クリック程度の変化では無い)

 

・推奨プレイ順

希 → (鈴音→) 愛衣 → ナツメ

→ 栞那

あくまで参考程度で、気になるヒロインからで良い。強いて言えば最後に栞那ルートのプレイを推奨。


・受賞(あれば)

特になし。

 

・主観的ジャンル区分(シナリオ/キャラ/抜き)

キャラ

 

・備考

特になし。

 

 

評価(/100)

各5点の全10項目で評価し、最終的にD〜Sでランク付けする。

尚、重要と考える項目は太字で表記し、点数も2倍とする。中でもストーリー展開は3倍(太字斜体)。

Hシーンの必要性に関してはサブ項目に過ぎないため、加算しない。

 

システム:5

フローチャート、お気に入りボイス、スクリーンショット、オート設定の細かい調整、ドラマチックモード機能、テキスト変更等基本的に困ることは無い。さすがのゆずソフトクオリティ。

 

BGM:5

比較的多く、場面にあったBGMが流れる、EDがキャラクター毎に違う等文句無し。

 

CG:5

SDイラストも含め、CGは十分に多い。そのいずれも必要な場面にあった印象。

 

演出:4

無難に良いが特筆するような工夫は見られなかった。

 

立ち絵枚数, 表情差分:5

左下にキャラクター表情があることに加え、動きもある(1つのセリフで差分が何度も切り替わる)。また、立ち絵の差分もかなり多く、一部モブキャラにも立ち絵と表情差分が用意されている。十分すぎる。

 

キャラクターデザイン:4(×2)

個性と言えるものが確立されており、魅力的にヒロインを描けていた。が、一部シナリオではそうとも言えない部分もあり、4とした。

 

ストーリー展開(共通):4(×3)

続きが気になるような展開は無いが、充分に読める。展開にも妥当性があり、読みやすいものだった。

 

ストーリー展開(個別):3(×3)

各ルート毎に簡潔に書くと以下の通り。

【栞那√】4〜5(王道に良い)

【涼音√】4(無難に丸く纏まっている感じ、点数には含めない)

【愛衣√】2〜3(結ばれるまでは良かった、全体的にくどい、後半が何かマイナス点が多かった印象)

【希√】3(前半は良さげ、後半が何とも)

【ナツメ√】2〜3(普通に微妙寄り)

(4.5+2.5+3+2.5)/4 = 3.125 ≒ 3

 

快適性:4(×2)

不快になる場面は特に無かったが、5になるほどではなかった。

 

終わり方:4(×2)

メインヒロイン(栞那√)の終わり方で判断する。違和感もなく、無難に良かったため4。

 

完成度, クオリティ:3(×3)

無難という言葉に尽きる。多少設定として荒い部分はあるが、作品ジャンルを考慮すれば許容できないほどでもない。よって3とした。

 

Hシーンの必要性:3(×0)

一部ルートを除きシナリオの邪魔をしない程度のある種、丁度いい立ち位置とも言える。

 

合計:78/100

ランク:A

 

 

総評

『サノバウィッチ』とは比較にならないほどに内側部分のクオリティがアップした本作。

多少気になる部分はあるが、キャラゲーとして許容できる範囲ではある。シナリオとして特筆して『面白い』と言える部分は無いが、無難にある程度しっかりと話もまとめられていた。

キャラゲーとして最近の作品を何かプレイするのであればオススメはできる

 

 

独り言

改めて評価をしてみて「こんな高くていいのか……?」というのが率直な感想。点数に不自然さは無いが、改めて見直した方がいいのかもしれない。(なう(2024/03/11 06:05:16))

所詮凡作。【恋する乙女と守護の楯 Reboot Plus】雑感


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何か前置き書くのもしんどい……早速本題に入ります。

 

以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。

 

 

 

 

 

 

まず何から語るべきやら。

個人的に最初に思ったのは絵の古さです。

私自信、この作品がリメイクだと言うのは理解していたのですが、具体的にどこがどうリメイクされたのかは調べずにいました。そして後から調べてびっくりしたのですが、どうやらこの作品のリメイクポイントとしては、

・afterシーンの追加

・CGの追加

・サブヒロインの攻略ルートを作った(?)

・CG、立ち絵等の一新

という感じみたいです。戯画が解散したこともあり、厳密にどこがどう変わったのかは完全に理解していませんし、そこまで調べる気にもなりませんでした。

それでつまり何が言いたいのかというとですね「描き直してこれなのか?」ということです。プレイ中ずっと、「立ち絵と一部CG」は変えてないんだろうなあとか思っていたんです。確かにCGの中にはリメイクっぽいなと(すなわち今どきになった見れる絵だな)と思うことも何度かはありました。でもそれと同じぐらいに「ふっっっっっっっる!」と思うこともまあありました。それらはリメイクで変えていないからだと思っていたのですが……いやいやまさか描き直してこれとは思いませんでした。見た感じシナリオは書き直していないようだったので、"描"き直しだけをした本作だったのですが、果たしてこれは何のためのリメイクなの?と割と思いました。正直それぐらいに絵がキツイです。キツすぎます。2020年に発売していい作品の絵ではありません

真面目な話、リメイクをする目的としては環境面が主でしょう。要するに「Windows10以降でもプレイできるようになったよ!やったね!」ってことです。まあ世の中、そこだけを変えて発売している作品もあるのでそこ以外にもCG等を一新したという点については評価できる部分ではありますが、それでもこれだったら結果として、やってることはそんな変わらない気もします。何せ古さを払拭できていませんから。

とまあ、第一印象としては何よりもまずその部分でした。

 

そんで中身についてですが……

まあ冒頭は良かったと思います。具体的には二つ目のOPが流れるまでは。そしてそれ以降ははっきりいって微妙でした。

その理由は何点かありますが、一点目は主人公が不快という、まあよくある理由です。

購入するにあたっての事前知識として「主人公がかっこいい」みたいなのを見ていた私としては驚愕でした。いや、どこが?と。

基本的にこういう女装物とかいわゆる「男の娘」系の作品は主人公もヒロイン的な立ち位置なことが多いので、割とかっこよさよりも可愛さに焦点を当てがちです。だからこそ私はこの「主人公がかっこいい」というのに魅力を感じて購入した部分もありました。

それが蓋を開ければ、「あわわ」とか「とほほ」とか素で言ってる痛々しいことこの上ないクソみたいなナヨナヨ系主人公ですよ。まあ当てにする私も大概学ばないバカですが、これを見て本気でそう思っている人たちは私よりもどうしようもなさそうで笑えません。

そんでもってこの主人公にはある特徴があります。それは無能なことです。

口を開けば「何で気づかなかったんだ……!」「クソっ……! 俺がしっかりしていれば……」みたいなことをほざき、表面上の反省をしては同じことを繰り返すという不快この上ないのがこの主人公です。

まあ何か……時代的に流行ってたんですかね、こういうの。

別作品ではありますが、「マヴラブ」の主人公くんに対する不快感に近しいものがありました。年代的にもこちらの作品が2006年であちらもそれぐらいだったと思うので、これが流行る時代でもあったのかな〜という感じです。(まあ最近でもこういうクソみたいな主人公は多いですが)

そして、この無能さは主人公だけには収まりません。全キャラです。何かしらことが起きる時は全員、自分のせいでピンチに陥ります。もうやめませんか、こういう単調なの。怒りを通り越してため息です。呆れました。

そもそもこういう風に味方サイドが無能プレイをかますというのは、絶対にすべきではありません。それによって起こる出来事、そしてそのキャラの価値、全てを下げることになります。しかしまあこれも唯一例外があるとすればそういうキャラクターであるとか、無能と言うよりは相手が優秀だった場合です。しかし上述したようにこの作品は全員がそれをしますし、敵も別に優秀でも何でもありません。ルーキーの主人公くんに勝てもしない「噛ませ」ばっかりです。ですのでこれにも該当しません。それなのに何回も、いえ全体で合計すると少なく見積っても十数回は重要な場面で無能が原因でピンチになっています。確かにそうするのが最も簡単だとは思います。が、それはあまりにも安直です。無理に展開を作ることができないならやめてください。こうして無理やりすぎる展開作りで茶番をされてマイナスになるよりは単純につまらない(プラスマイナス0)方が遥かにマシです。

 

そして、こういう「物語の展開」という観点でも幾つか不快な点がありました。

もちろん上述した、

・何か知らんけどあっさり敗れる噛ませ達

・無理やりの展開の引き起こし方

という二点もありますが、それ以外にもあります。もう恐ろしくないですか?

それでまず一点目としては、

「Another view」の存在です。これは文字通り主人公では無い視点でお話を進める時に使用します。言い方によってはネタバレという表現も適切かもしれません。まあ、これ自体はいいと思います。問題はその使い方です。敵視点で「これからこうしてやろう」みたいなそういう匂わせは良かったと思います。主人公視点では語れませんし、何より読者に対して先の展開を期待させられるからです。 

しかし良かったのはこれだけで、正直あとは邪魔でしかありませんでした。そもそも使い方がわかっているかも怪しいです。と言うのも、本作ではヒロインの内心を描写するのにもこの「another view」を使うのですが、それが使ったり使わなかったりしていました。自分でも使い方分かっていませんよね?

次に、これによって同じことの繰り返しが起きることです。つまり「こいつ視点では知ってるけど主人公は知らないよね」みたいなことはほぼ必ず2回見ることになります。いや、じゃあ要らなくね? という話ですよね。

それに付随して二点目ですが、

見せ方があまりにも悪すぎるということです。それはもちろんこの「another view」(そろそろ書くのめんどくなってきた)もありますし、こうすればもっと面白くなるのに、という展開をいくつも退屈なものにしてしまっています。

具体的にあげていたらキリがないので例として一つだけ提示しておくと、

何かしらの謎があるとします。当然、その謎を解くために奔走していくわけですが、では、その謎が最初に明かされていたらどうでしょうか。奔走しているの馬鹿らしくありませんか?

「いや、確かに主人公視点はそうかもしれないけどこっちはもう答え知ってるんだけど……」みたいな状態になるわけです。これが本作の恐ろしいところ。話を面白くしたいと思っているようには思えません。と言うか自己満足で終わっているように感じました。ブラッシュアップしてみるだとか、そういう気持ちは無いのでしょうか。申し訳ありませんが私は一ミリもそういったものは感じられませんでした。それぐらいにはしょうもない構成でした。

まあ特筆すべきはこの辺りでしょうか。何かもう疲れたので終わります。

とりあえず一つ言えるのはこんな酷いシナリオでリメイクとは思えないクオリティで発売した本作はある意味ですごいということです。

もちろん良かったところもあります。主にシステム面ですが。まあでもそれは副次的要素なので。以上です。解散!(死)

【恋する乙女と守護の楯 Reboot Plus】評価


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概要

・作品情報

ブランド:戯画 Team AIGIS(リメイク前:AXZ)

作品名:恋する乙女と守護の楯 Reboot Plus

発売年:2021

ジャンル:学園、恋愛、女装

公式サイト:#存在しません

 

 

・あらすじ

アイギスとは、すべての邪悪を払う楯だと言われている。
主人公、如月修史が所属する組織『アイギス』には、二つの顔があった。
一般家庭から一流企業まで、幅広く活動を行う警備会社としての表の顔……
もう一つは、対象の護衛を、時には非合法な手段を用いてでも行う、護り屋としての裏の顔。
特殊要人護衛課に所属する新人エージェント、如月修史は、その小さな体躯からは想像もつかない驚くべき運動神経で、これまで幾人もの要人護衛を成功させた成長株である。

そんな修史に下った、新たな護衛任務は……なんと
『女装して全寮制女子校に潜入し、女学生として生活しながら、対象を護衛せよ』
--という、無茶すぎる内容だった。

「ムリですって! つーかムリだ! 俺、男ですってば!」

慌てふためく修史の肩を、彼の上司は優しく叩く。

「大丈夫、お前ならきっとやれる。だってこんなにカワイイし。よしよし」

そう。修史は小さな体躯だけでなく、中性的な顔立ちに、トーンの高い声の持ち主。
一見するとボーイッシュな女の子にも見えなくはない。

嫌がる修史を無理やり、現場へと投入するアイギス
そして修史は出会う。
護衛対象となる女の子たちに……

決して、自分の正体がバレてはいけない。
決して、自分が男だと悟られてはいけない。
そして、護衛対象を護り抜かなければならない。

女学生『山田妙子』として潜入した修史を待ち受けていたのは、禁断の花の園。
全てが女子で覆い尽くされた、綺羅の空間。
既に学院へと潜入している同業者と、敵のエージェントが入り乱れ、学院には、スリリングな毎日が溢れかえっていた。

時には学院祭、時には調理実習と女学生らしい生活を送りつつ……
毎日の女装に気合を入れ、修史は日々、護衛対象となる女の子たちを見守り続ける。

果たして修史は、彼女たちを護りきることができるのか……?
如月修史と女の子たちとの、奇妙な学生生活が始まろうとしていた。

(公式より引用)


 

データ

・プレイ時間

≒38(時間)

※フルオート/同じシーンはスキップした上での時間です。

 

・構成

やや複雑。共通から派生してそれぞれの個別ルートに分岐する。が、同タイミングではなく、ヒロインごとに共通ルートのどこで個別ルートに入るかは異なる。共通ルートでは選択肢によって部分的にそのヒロインの個別のシナリオがあるが、全体の大筋は完全に同じ。

 

・推奨プレイ順

鞠奈→蓮→雪乃→設子→有里

※そこまで厳密なものでは無い。が、設子と有里はこの順番推奨。また、構成上、一人目にプレイするのは好みのキャラクター推奨。

 

・受賞(あれば)

萌えゲーアワード2020コンセプトデザイン賞:金賞

Getchu.comあなたが選ぶ美少女ゲーム大賞2007総合部門:9位

 

・主観的ジャンル区分(シナリオ/キャラ/抜き)

キャラ

 

・備考

恋する乙女と守護の楯」のリメイクである

恋する乙女と守護の楯 Re:boot The "SHIELD-9"」のリメイクが本作。

販売停止済。

 

 

評価(/100)

各5点の全12項目で評価し、最終的にD〜Sでランク付けする。

尚、重要と考える項目は太字で表記し、点数も2倍とする。中でもストーリー展開は3倍(太字斜体)。

Hシーンの必要性に関してはサブ項目に過ぎないため、加算しない。

 

 

システム:4

フローチャートの存在、各種設定が設定画面にいかずともウインドウ上で可能。ドラマチックモードの存在等、比較的優れたシステム。しかし、既読テキストの色が変わらないのは大きくマイナス。

 

BGM:3

可もなく不可もなく。

 

CG:2

それほど多くは感じなかった。戦闘場面で無かったのはかなり勿体なかったように思う。

 

演出:2

そういった工夫が全く感じられなかった。

 

立ち絵枚数, 表情差分:3

可もなく不可もなく。

 

キャラクターデザイン:4(×2)

基本的に個性と言えるだけのものはあった。

 

ストーリー展開(共通):3(×3)

辛うじて読めはする。以上

 

ストーリー展開(個別):3(×3)

(2.5+3+3+3.5+2.5)/5=2.9

構成上比較的同じ展開になるため、何度も見ているとさすがに退屈と言わざるを得ない。

 

快適性:2(×2)

辛うじての2。読むことにストレスを感じる作品には久しぶりに遭遇した。

 

終わり方:3(×2)

特になし。何も残らない。

 

完成度, クオリティ:2(×3)

特にそういった点はなかった。

 

Hシーンの必要性:2(×0)

物語の邪魔をしていた場面もあった。

 

合計:56/100

ランク:C

 

 

総評 

キャラゲーだとすれば、感情移入もできない。シナリオゲーにしては展開、見せ方があまりにも酷い。どこにも振り切れておらず何にも残らない、良くも悪くも凡作そのもの。

戯画の解散に伴い発売も終了したためプレイすることはできないが、オススメはしない

絶対にオススメしたい名作アニメを発見した話。【彼方のアストラ】雑感

どうも、ややお久しぶりです。

今回は1年に1回ぐらいの頻度でやってるアレです。そうです、皆さんお分かりの通り(なわけない)、アニメの雑感記事です。

この記事でお話ししたいのは、


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「彼方のアストラ」

という作品についてです。

本文に入る前に、見ていない方向けに言っておきます。この作品は見る価値があると自信を持って言える作品だと思います。

以下、ネタバレを含むのでご注意ください。

 

 

 

 

 

結論から言いますと、これがまあとにかく良かったです。久しぶりかもしれません。ここまで文句のない作品に出会ったのは。

現状でのあくまで感覚としての話になりますが、間違いなく名作です。と言うよりも何本かの指に入っていいレベルの作品だと私は思いました。

何が良かったのか、書きながら整理していきたいのですが、何よりも私が高く評価しているのは物語の構成そのものです。いえ、まあ展開も非常に素晴らしいんですけど。展開と言うよりは、構成、つまり完成度というべきかもしれません。完成度が非常に高いんですが、それでいて作品の展開も何度も何度もある。

なんと言うんでしょうね。例えばですが、完成度としては非常に高い作品というものはまあいくつかあります。ですが、そう言った作品の完成度を語る段階に至るのは終盤、もっと言えば最後の最後ということが多いです。

一見して「何を言ってんだ?」って感じだと思います。そりゃ完成度語るのに最後まで見ないで語れるわけもなかろうという話ですから。それはその通りなんです。ですが、ここで言いたいのはそういうことではなく、

『完成度は高いけど最後の最後にその完成度の高さがあってようやく語れる作品』と、

『始めから完成度の高さを無視しても語れる作品』

というのでは価値が全く変わってきます。完成度という観点で評価をする作品の多くは、言ってしまえば終盤全振り、どんでん返し全力、みたいな印象が強いです。ではそう言った作品は果たして面白いのかというところにあります。確かにその終盤がめちゃくちゃに詰め込まれていて名作だった、となるものもあります。が、トータルの時間で考えてどうですか? 仮に終盤のそのめちゃくちゃに面白い部分が全体の尺の1割だとしましょう。この残った9割が面白いかどうかと言うのは非常に重要だと私は考えています。私は割かしビジュアルノベルの話をする人間なので基本的にその観点での話にはなりますが、これは別にどの媒体であれ同じことだと思います。アニメ、漫画、ゲーム、小説、何れにしても長ければ長いほど良いなんてことは全くもってないんです。重要なのは長さではなく、その物語に対して妥当な尺かどうかです。

個人的にですが、長さというのが価値を持つのはいわゆる感動系、もっと言うと死別だったりとかの物語だと思います。そのような作品の場合、長さというのは喪失感だったり悲壮感だったりを見ている側に感じさせる上で効果的ではあります。ですが、だからと言ってダラダラと長々と尺稼ぎみたいな中身のないことをしていて良いのかと言うと当然そんなわけはありません。あくまでその一場面、その一瞬の為にしか効果的ではないわけですから。

まあ話をまとめると、中身のないことをして尺を稼いで最後だけ良かったから名作、なんてのはふざけるなということです。最初だけ、最後だけではなく、トータルで考えてどうなのかというのが重要だと思います。つまり最後がめちゃくちゃに良い作品であればその最後に残りの9割が退屈でも良いと言わせるだけのものがあるのか、ということです。 

そう言った観点において本作は非常に素晴らしかったです。各話毎に(見ていて不快ではない)細かい展開があり、そして物語が進むにつれ、大筋にも展開がある。これは、はっきり言って、物語において完璧な構成だと思います。見ている側を退屈にさせるどころかどんどん次の話が気になって見たくなる、そんな作品でした。これが上述した完成度周りの話になります。

そして、この、完璧な物語を構成する上で必要な要素が、キャラクター性にあります。まあ端的に言うと不快か否かということなんですが、これは前提として個人差はあります。例えばツンデレは嫌い、クーデレは好き、みたいな好みがあるようにキャラクターの性格だって言ってしまえば好みで切り捨てられる部分ではあります。が、私は、必ずしもそうではないと思っていてある程度その好みを操作することは可能だと思うんです。

その手段として分かりやすいのは二種類あって、一つがこちら側を同情させることで、もう一つがどちらかと言うと重要で、そのキャラクターを無能にしないことです。

この二点目の話をするには、なろう系の作品が分かりやすいと思います。なろう系の基本的なスタイルとしては周りを下げることで主人公を有能そうに見えさせるというものです。つまり、主人公が有能なわけではないのですが、周りが無能すぎて相対的にそう思わせるというものですね。私はなろう系のこのスタイルが非常に気持ち悪くて嫌悪感しかありませんが、まあつまりこの逆をしていると考えてもらえればいいです。(逆というのも語弊はありますが)

本作はそう言ったことも無く、そのキャラクターを掘り下げる上で、必要となってくる過去についても物語の設定上、自然に語ることができます。これは上手いと思いました。

つまり過去の話で同情を買うにしろ何にしろ、その強引さだったり作者都合的なものを感じることが全くありません。だからこそ、こちらとしてもスッと抵抗感なくそのキャラクターの過去を飲み込むことができます。

キャラクター性という所でもう一点語ると、それは掛け合いの上手さですね。ここはさすがスケットダンスの作者だと思いましたが、全てが自然なんですよね。会話だったり「このキャラクターならこういうだろう」みたいなのが全て違和感がない。そういった個性の確立とその空間の構築能力とでも言うのでしょうか。そこも非常に上手い。

とまあ、ストーリー、展開、そして完成度という、お話を語る上で必須にもなる部分が文句の出ないぐらい完璧で、それでいて副次的要素として名作に求められる、キャラクターの個性の確立、これもできていたのが本作でした。

まあもう、なんて言うか……これ文句ないと思いません? 逆にどこにケチをつければ良いのか分かりません。

強いて言えばこれは完全に私の独善的な感想ですが、帰還後のサクセスストーリー的な部分が長すぎるかな、と思いました。エンディングは私はむしろ物足りないぐらいの方が余韻を残せて絶対に良いと思っているので、その後の部分を長くされると要は萎えるってやつです。まあここは確実に好みなので気にするほどでもありませんが、文句があるとしたらそんなぐらいでした。

まとめとしては、冒頭でも書きましたが、素晴らしいの一言です。

なんと言うか胃に残るような重さは無いのですが、頑張っていこう!みたいな気持ちになる作品でした(適当)。もちろん良い意味です。

ただただ褒め言葉しかありませんね。名作です。ありがとうございました。

【Geminism〜げみにずむ〜】評価


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※本記事はネタバレを含みません。

 

 

概要

・作品情報

ブランド:CRAFTWORK

作品名:Geminism〜げみにずむ〜

発売年:2023

ジャンル:惜夜[あたらよ]のしあわせ探しADV

公式サイト:CRAFTWORK | Geminism

 

 

・あらすじ

 親の因果が子に報い、生まれ出でたるこの姿。
此方彼方に相見[あいまみ]ゆるは、双[なら]び立たざる相似形。

──東京、丑三つ時。
新月の下、相似形の少女二人が対峙する。
少女達の手には不釣り合いに見える歪な武器。
背後に控えるのは怪しい男達。

男の目的は。少女の夢は。
彼等は何の為に戦うのか?

サァサお立ち会い、夜半[よわ]の忌事[おまつり]、
はじまりはじまり──。

(公式より引用)


 

データ

・プレイ時間

=14(時間)

※同じシーンはスキップした上での時間です。

 

・構成

説明不要。

 

・推奨プレイ順

無し。

 

・受賞(あれば)

無し。

 

・主観的ジャンル区分(シナリオ/キャラ/抜き)

シナリオゲー

 

・備考

選択肢毎のセーブは不要。

 

 

評価(/100)

各5点の全12項目で評価し、最終的にD〜Sでランク付けする。

尚、重要と考える項目は太字で表記し、点数も2倍とする。中でもストーリー展開は3倍(太字斜体)。

Hシーンの必要性に関してはサブ項目に過ぎないため、加算しない。

 

 

システム:2

ボイスが極端に小さい箇所と大きい箇所あり。オート速度設定も細かくは調整できない、プレビュー無など。

 

BGM:3

可もなく不可もなく。

 

CG:4

4か5で悩んだが、必要な場面に必ずあった一方、使い回している箇所も多かったため4。

 

演出:5

カットイン機能、効果音等、演出としてはかなり上質。

 

立ち絵枚数, 表情差分:4

基本的にカットイン演出のため、評価しにくいが、カットインのパターンがかなり多く、4とした。

 

キャラクターデザイン:4(×2)

終盤以外は文句はなかった。

 

ストーリー展開(共通):5(×3)

本作は、共通と個別で分けられないため、前半後半で分ける。共通を前半部分とする。その上で、前半は非常に精巧に話が創られていたと思う。 

 

ストーリー展開(個別):4(×3)

後半部分とする。悪くなかったが、やや丁寧すぎるように感じた。

 

快適性:5(×2)

読みやすく没入感の高い文章で、展開も良かった。

 

終わり方:3(×2)

勿体ないように感じた。 

 

完成度, クオリティ:3(×3)

完成度が高いと言えるようなものは特に無かった。

 

Hシーンの必要性:3(×0)

無くても良かったように感じるが、かと言ってそこまで作品の邪魔をしているわけでもなかった。

 

合計:78/100

ランク:A

 

総評 

2023年だけでなく、近年で見てもトップクラスの作品。尺の短さ、完成度、終わり方等気になる点はあったが、それらの部分が良くなれば全体で見ても相当な名作になると感じた。今後に期待したい。

比較的最近の作品をプレイしたい方には十分にオススメできる

 

 

界隈の希望。【Geminism〜げみにずむ〜】

おはようございます。

2024年プレイした作品の二つ目は、タイトルにもあります通り、「Geminism〜げみにずむ〜」という作品でした。


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何かそこまで元気がないので程々にいつもの雑感記事、いきます。

以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。

 

 

 

 

えー、まあなんと言うか、とりあえず、正直期待していました。と言うのも、二点理由がありまして。

まず、今回、私の事前知識はほとんど皆無で、ただ「CRAFTWORKというブランドが約20年振りに出す新作だーうわあー」と巷で言われていたのをちらっと聞いていた程度でした。ちなみに私はこちらのブランドの超有名作、「さよ教」こと「さよならを教えて」はプレイしたことは無いので、『だから何……?』という感じもまあ正直無くはありませんでした。しかし、もう一つの理由が私にとってはプレイするきっかけとしてはかなり大きくて、それは何かと言うと、本作が2023年の中でよく話題に上がってくる作品、ということでした。昔の名作をやってみたいという気持ちは勿論あるのですが、同時に、やはりある程度最近のものもやってみたいというのも私の中にはあります。と言うのも、やはり昔の作品は、

①難易度(これは一概に悪いとは言えないが)

②作画

③システム

の三点が気になってしまうことはよくあります。特に大きいのは、やはり②と③の部分で、ちょっと不便だとか、まあ言わば「物足りさ」みたいなものを感じることはやはり多いです。なので、そこにハードルを感じてしまうことがちょくちょくあるんですよね。これで詰んでるゲームとかも正直に言うと少なくないです()。比較的最近の作品にはそういったハードルは無いので、やりやすいんですよね。

ただ、まあ私が最近の作品を好むのはもう一つ理由がありまして、こっちがメインにはなるんですが、エロゲという文化は今も尚途絶えていない、と思いたいからです。まあこんな言い方をできるほど私は大層な人間ではありませんが、「昔はよかった」なんて老人じみたセリフは聞きたくもなければ言いたくもないです。私は、今でも昔に負けず劣らず、尖った良い作品が存在していると、そういったものを作ろうとしているブランドがいると信じていたいですし、そう信じています。だからこそ比較的最近で話題になった作品は手を出すことも多いですし、それで実際悪かったらボロクソに酷評しています。まあなんせ高いですからね〜、エロゲって。この時代に普通に8000円(も)してゴミ掴まされたって、そりゃまあ文句も言いたくなりますよ。

私は、正直もう最近の作品はダメだと、喉の手前までその言葉は出かかっていて、それでもまだ声には出さずに堪えている、そんな状態です。無駄に感情が乗ると言うか、熱くなってしまうと言うか、とにかくそういう妥当でない評価を受けて、それに甘んじている現状は嫌だ、とただそれだけなんです。勿論好みもあれば需要もあるので、嫌だと言うのはあくまで「私だけ」の事なんですが、とは言え、好みという範疇ではなく、作品として評価に値しないようなものもまあいくつもあります。中でも顕著だったのは「創作彼女の恋愛公式」でした。 (こういった話をする時ほぼ毎回でてくる)

こちらの作品についての詳細は、別の記事で言及しているのでもう書きませんが、

餓鬼の戯言【創作彼女の恋愛公式】感想1 - 徒然防備録(エロゲ、アニメ評価感想その他諸々)

 

昔であれば駄作だったものも今なら良作、どころか名作にすらなっているというのがこのエロゲ界隈の現状だと私は思っています。つまり、地面が極端に高くなったんです。ただこれは作品のレベルが上がったとかではなく、ただ全体が高くなったことで、最低ランクは一つ上に、その一ランク上は更に上に、となっただけです。現実としては、何も良くなっていませんし悪くなっていると思います。おそらく作品数が減っていることが一番大きいのだと思いますが、他にも、ユーザーの過剰な持ち上げ行為も一端ではあると思います。

まあその辺の話はここでは省略しますが、ちゃんと妥協しないで欲しいんですよね。終わったあとに心に残るような、あるいはエロゲーにしか無い良さを感じ取れるような、そんな作品を求めているんです。

 

話が逸れました。感想でしたね。

本作をプレイした上での感想としては、雰囲気は良いが時間が極端に短いと感じました。と言うのも、まあ全体を通して14時間ぐらいなんですよねこの作品。しかも大筋として同じことを別視点で描いているような構造なので、単純に2で割ると7時間。実際にそのまんまそうではありませんが、ざっくり大筋が7時間ですよ。かなり短いと思いませんか?

私は、値段の高さ=話の長さ とは考えていませんが、ただ、妥当な尺で妥当な値段であってほしいとは思っています。フルプライスだからといって無駄にグダグダ引き伸ばして時間稼ぎのようなことをしてくる作品は大嫌いです。その作品にあった尺でやっていれば別に長かろうが短かろうが良いんです。

そんな私ですが、本作は少し尺が足りていないように感じました。簡単に言うと、風呂敷を畳んでいない感じがしました。それに、そもそも尺が無いので、話としてもそこまで広げられないんですよね。つまり起承転結のそれぞれの部位が極端に短い。

この二つは、一見矛盾しているようにも聞こえるかもしれませんが、この両方が成立する場合もあります。それは、「匂わせでそれっぽいことを言うだけ」というものです。本作はそういった「始めると長くなりそうな色々な部分」を匂わせにすることで、風呂敷を広げておきながらそこまで大きく話を広げないという構造を取りました。ここが私の言う、尺の不足です。つまり端から匂わせではなく、そこまで描いてしまえば良かったと思うんですよね。

私自身、こういった消化不良のなり方は初めてな気がします。そんでもって値段もそこまで極端に安くもないんですよね。妥当な尺で妥当な値段、と言うのがどちらも守られていなかったのは非常に残念な部分だと思いました。

ただ、中身の話をしますと、そう言った「投げ」た部分は抜きにすると、率直に面白かったという感想になります。

これは、読ませる(と言うより没入感を煽るような、或いは文学的な)文章だったというのもありますし、キャラクターもかなり興味を惹かせるようにできていましたし、ストーリーも、まさに一進一退の感じで、先の展開を想像できないようになっていたというのもあります。演出も良かったと思います。

作品としてのレベルは非常に高いと思います。だからこそ、私は終盤のよく分からない、と言うか「そんな終わり方でいいの? これで終わるの?」感が勿体ないと思いました。(単に私がこの作品を評価できていないだけかもしれませんが)

 

まとめとしては

現状、2023年に出た作品の中では私はこれしかやっていませんが、近年の作品で久しぶりに希望を感じました。

上述した通り、まだ荒削りな部分はありますが、本作のように、アングラ感と言うか、文学とエンタメの狭間のような感じと言うか、個性的と言うか、私の中での「これだよエロゲって」という感情を思い出させてくれるものが近年、しかも2023年という直近で現れてくれたのは非常に嬉しかったです。今後もぜひ頑張って欲しいと思いました。以上。寝ます。