徒然防備録(エロゲ、アニメ評価感想その他諸々)

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凡作≠つまらない【怪獣8号】アニメ感想

※こんなタイトルをつけておいて何ですが、本記事は批判的内容を多く含むのでご了承ください。

 

今回は、現在(2024春アニメ)放送中の作品である『怪獣8号』という作品に関するあれこれを話していきたいと思います。(ちなみに『ジャンプ+』にて現在も連載中です)


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(珍しく)まず簡単にあらすじを紹介しておくと、

世界観は、現代で怪獣という、まあいわゆる『敵』が存在している世界でのお話です。

なので、当然その怪獣の脅威に対抗する必要があるわけです。その組織(=防衛隊)に入隊することに憧れていた主人公(日比野カフカ)は何度も試験に落ち、その夢を諦めてしまいます。

そんな主人公は『解体屋(正式名称か怪しい)』という、死んだ怪獣の死体を処理する仕事に就いており、そこに『防衛隊』を志す若い青年が新人として入ってくる、というところから始まります。

そしてまあなんやかんやあって主人公は怪獣の力を得てしまう。そして防衛隊にも入ることになる。

 

とまあ、ここまでは良くも悪くもテンプレでしょう。一点従来の作品との相違点があるとすれば、それは主人公についてでしょう。

この主人公、何と驚くことに32歳という、仮にもジャンプ作品にしてはあまりにも珍しい年齢設定です。しかも見た目までも非常におっさん臭い。つまり外見中身共に完全におっさんが主人公なわけです。

これは別に良い、悪いという話にはなりませんが設定としては珍しいかなと思いました。活かすことが出来ればそういったプライオリティのある作品にすることもできそうではありましたが、本作においてこの設定は正直不快な要素でしかありませんでした。

と言うのは、やはり外見にあまりにも魅力がないと思います。怪獣化した時の見た目も私には良さが分かりませんでしたし、基本的にほとんどの間はおっさんの状態でいるわけですから、やはりこのマイナスは大きいと思います。一言で言えば魅力のない主人公という感じですかね。

私は最低限は主人公らしい容姿であって欲しかったです。これが作者の意図なのかもしれませんが、私にはその試みは寧ろ失敗だったように感じました。

まあ色々言いましたがこの辺りは好みでしょう。

そして、先程述べた魅力のない主人公という表現ですが、外見よりもそこの評価を下げているのは内面にあります。

主人公の特徴として、

①後先を考えない、一貫性のない行動

②テンポを悪くするだけのギャグ

ある程度重複する点があることはひとまず置いておくと、こんなところです。

 

②についてはまあ見てもらわないことには何とも言えませんが不快なタイプのギャグが寒いしテンポを悪くしていました。

 

①についても見ての通りで、例えば、怪獣化が発動してしまった当初、主人公は変身した状態から戻ることができなくなります。約3ヶ月後にはある程度制御できるようになったわけですが、ふとした拍子にすぐ怪獣化してしまうんですね。そしてそれをパートナー的存在(レノ)に指摘されては『おっとそうだった。まあ大丈夫だろ。アハハ』みたいなことをやります。前述した通り、主人公は防衛隊を志しているわけです。そしてその理由というのもかなり重大で、言わば何よりも大切なことのはずです。そんな防衛隊にとって怪獣というのは倒すべき『敵』であるわけです。つまりバレたら防衛隊に入るどころではなく、どんな目に会うか分からない。そんな緊張感はあって然るべきなんです。にも関わらずこれです。『頭大丈夫かこいつ』となるのは必然です。

そしてそんな主人公の行動原理でよく分からないところで言うと他にもあります。

怪獣9号(ナンバリングされる怪獣はめちゃくちゃ強い)という強敵と戦う場面ですが、(戦闘の演出として)パートナーと他仲間がそいつにボロボロにやられている場面に遭遇した主人公は『こいつらをこんなボコボコにしやがって』みたいな理由でブチ切れてめちゃくちゃ強くなります。まあ演出なのは分かるんですが『お前そういうキャラじゃなくね?』ってなりました。こいつのやりたいことって何なの? というのを考えたとき作者すら答えられないのでは無いかと思います。それぐらいに不確定で筋が通っていない。その場その場のテンションだけでやっている。これで32歳らしいです。

応援できますか? 私は無理です。

まとめると、年齢に見合わない幼稚さとやりたいことも決まっていないし見た目も中身もかっこよくないおっさんが主人公ということです。

百歩譲って32歳という設定を無理やり活かすのなら、もうちょっとルーキーにはない物事の考え方や、ある程度達観した余裕みたいなものがあっていいはずなのに、それすらなくただ歳食ったやつが、訓練ではルーキーに全く歯も立たなくて実戦でもぼろ負け。でも何かムードメーカーで、怪獣のチート能力で無双してますって。笑えませんね全く。

私がこれを見た時に思ったのはつまるところ『なろう系』だな、ということです。

まあどこが、というのはいちいち改めて語ることでもないでしょう。それぐらいには節々に感じる部分があります。

 

さて、そんな作品ですが、どうして私がわざわざこんなことを記事にしているかと言うと、それは、本作にある意味の希望を感じたからとも言えるかもしれません。私は基本、いちいちなろう系だったりゴミ作品について触れることはありません。なぜならもう見飽きたし何より改めて言うほど期待をしていないからです。

泥沼を覗いて『ここの部分が汚くて〜』なんていちいち言うアホがいないのと同じです。

本作はそんな泥沼と同格にするには勿体ないような気がしたので取り上げてみることにしました。

 

というわけでようやく本題です。

防衛隊として怪獣を倒す日々で、前述した通り主人公は素の状態ではあまりにも非力です。しかし怪獣は奇襲を仕掛けて来ることもあるわけです。そんな時どうするか、と言うと当然自分の夢よりも目の前の命を助けたい主人公のやることは一択で、怪獣化して助ける、それだけです。

しかし、ここで問題が起こります。それは自分の正体が怪獣だとバレてしまうということです。このリスクについては上述しました。つまりいつかはバレて処分される可能性が常にあるわけです。本人はまるで緊張感ありませんが。

そしてアニメ最新話(2024-06-16時点)の10話では、正体がバレて味方に銃を突きつけられた所で話が終わります。

言っておきます。ここが本作のピークです。私としては、ここで終わった方が何倍もよかったと思います。この話以降は、本作を好きでいたい方は見ない方がいいでしょう。私もこの場面は、この後どうなるのかと本作を見ていて初めて興味が湧いた瞬間でした。まあその後は残念としか言いようがありませんが。この作品が名作か凡作かを分けたのはこの辺りからなような気がします。

私は原作の最新まで読んでいますが、あとはまあ見るに堪えないです。何も期待できません。

 

しかしそこまで取り立てて何が悪い訳じゃないんですよね。『ここまで言っておいて何を言ってるんだこいつは』という感じかもしれませんが、確かに主人公も酷いっちゃ酷いですし、周りのキャラも何か浅いっちゃ浅いんです。そしてストーリーも、基本的に仲間がピンチになっては主人公が助けに来るの繰り返しでまあつまらんです。

でもですよ。よく考えると、これって昔であればいい意味でテンプレだったと思うんです。確かに間違っても名作ではありませんが、逆にここまで人気が出ないような作品では無いはずなんです。なぜなら基本的なツボは抑えられているから。

これが現代の(なんて言うのも大袈裟ですが)面白いところで、つまり単にテンプレを踏んだだけの主人公カッケー系の作品はもはや面白いと思われなくなっているんです。何かワンポイント、いやもっと根本的な何かが違う必要が現代の作品には求められているんですね。こういう無難なタイプがここまで話題にならないというのはなんと言うか残念でもある反面、喜ぶべきことではと思ったりもします。

と言うのも、要するに変化してきているわけです。これが進化となるか退化となるかは分かりませんが、時代の変遷を感じさせてくれたのが本作でした。

 

メインの話は『怪獣8号』の話ではありせんでしたが、本作についてももう少し色々改善していれば良くなる部分もあるように思いました。特に主人公の設定と、その幼なじみが実質のトップという構図は、設定としては珍しいですし、私は全く悪いとは思いませんでした。活かされていなかっただけで。

と、言うわけで長々書きましたが、要は現代の名作になるのは難しいってことです(鼻ほじ)。以上。