徒然防備録(エロゲ、アニメ評価感想その他諸々)

更新は超不定期です。書きたくなった時にふと書いてます。参考になれば幸いです、なんて言ってる人は信用してはいけません。参考になれば幸いです。

界隈の希望。【Geminism〜げみにずむ〜】

おはようございます。

2024年プレイした作品の二つ目は、タイトルにもあります通り、「Geminism〜げみにずむ〜」という作品でした。


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何かそこまで元気がないので程々にいつもの雑感記事、いきます。

以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。

 

 

 

 

えー、まあなんと言うか、とりあえず、正直期待していました。と言うのも、二点理由がありまして。

まず、今回、私の事前知識はほとんど皆無で、ただ「CRAFTWORKというブランドが約20年振りに出す新作だーうわあー」と巷で言われていたのをちらっと聞いていた程度でした。ちなみに私はこちらのブランドの超有名作、「さよ教」こと「さよならを教えて」はプレイしたことは無いので、『だから何……?』という感じもまあ正直無くはありませんでした。しかし、もう一つの理由が私にとってはプレイするきっかけとしてはかなり大きくて、それは何かと言うと、本作が2023年の中でよく話題に上がってくる作品、ということでした。昔の名作をやってみたいという気持ちは勿論あるのですが、同時に、やはりある程度最近のものもやってみたいというのも私の中にはあります。と言うのも、やはり昔の作品は、

①難易度(これは一概に悪いとは言えないが)

②作画

③システム

の三点が気になってしまうことはよくあります。特に大きいのは、やはり②と③の部分で、ちょっと不便だとか、まあ言わば「物足りさ」みたいなものを感じることはやはり多いです。なので、そこにハードルを感じてしまうことがちょくちょくあるんですよね。これで詰んでるゲームとかも正直に言うと少なくないです()。比較的最近の作品にはそういったハードルは無いので、やりやすいんですよね。

ただ、まあ私が最近の作品を好むのはもう一つ理由がありまして、こっちがメインにはなるんですが、エロゲという文化は今も尚途絶えていない、と思いたいからです。まあこんな言い方をできるほど私は大層な人間ではありませんが、「昔はよかった」なんて老人じみたセリフは聞きたくもなければ言いたくもないです。私は、今でも昔に負けず劣らず、尖った良い作品が存在していると、そういったものを作ろうとしているブランドがいると信じていたいですし、そう信じています。だからこそ比較的最近で話題になった作品は手を出すことも多いですし、それで実際悪かったらボロクソに酷評しています。まあなんせ高いですからね〜、エロゲって。この時代に普通に8000円(も)してゴミ掴まされたって、そりゃまあ文句も言いたくなりますよ。

私は、正直もう最近の作品はダメだと、喉の手前までその言葉は出かかっていて、それでもまだ声には出さずに堪えている、そんな状態です。無駄に感情が乗ると言うか、熱くなってしまうと言うか、とにかくそういう妥当でない評価を受けて、それに甘んじている現状は嫌だ、とただそれだけなんです。勿論好みもあれば需要もあるので、嫌だと言うのはあくまで「私だけ」の事なんですが、とは言え、好みという範疇ではなく、作品として評価に値しないようなものもまあいくつもあります。中でも顕著だったのは「創作彼女の恋愛公式」でした。 (こういった話をする時ほぼ毎回でてくる)

こちらの作品についての詳細は、別の記事で言及しているのでもう書きませんが、

餓鬼の戯言【創作彼女の恋愛公式】感想1 - 徒然防備録(エロゲ、アニメ評価感想その他諸々)

 

昔であれば駄作だったものも今なら良作、どころか名作にすらなっているというのがこのエロゲ界隈の現状だと私は思っています。つまり、地面が極端に高くなったんです。ただこれは作品のレベルが上がったとかではなく、ただ全体が高くなったことで、最低ランクは一つ上に、その一ランク上は更に上に、となっただけです。現実としては、何も良くなっていませんし悪くなっていると思います。おそらく作品数が減っていることが一番大きいのだと思いますが、他にも、ユーザーの過剰な持ち上げ行為も一端ではあると思います。

まあその辺の話はここでは省略しますが、ちゃんと妥協しないで欲しいんですよね。終わったあとに心に残るような、あるいはエロゲーにしか無い良さを感じ取れるような、そんな作品を求めているんです。

 

話が逸れました。感想でしたね。

本作をプレイした上での感想としては、雰囲気は良いが時間が極端に短いと感じました。と言うのも、まあ全体を通して14時間ぐらいなんですよねこの作品。しかも大筋として同じことを別視点で描いているような構造なので、単純に2で割ると7時間。実際にそのまんまそうではありませんが、ざっくり大筋が7時間ですよ。かなり短いと思いませんか?

私は、値段の高さ=話の長さ とは考えていませんが、ただ、妥当な尺で妥当な値段であってほしいとは思っています。フルプライスだからといって無駄にグダグダ引き伸ばして時間稼ぎのようなことをしてくる作品は大嫌いです。その作品にあった尺でやっていれば別に長かろうが短かろうが良いんです。

そんな私ですが、本作は少し尺が足りていないように感じました。簡単に言うと、風呂敷を畳んでいない感じがしました。それに、そもそも尺が無いので、話としてもそこまで広げられないんですよね。つまり起承転結のそれぞれの部位が極端に短い。

この二つは、一見矛盾しているようにも聞こえるかもしれませんが、この両方が成立する場合もあります。それは、「匂わせでそれっぽいことを言うだけ」というものです。本作はそういった「始めると長くなりそうな色々な部分」を匂わせにすることで、風呂敷を広げておきながらそこまで大きく話を広げないという構造を取りました。ここが私の言う、尺の不足です。つまり端から匂わせではなく、そこまで描いてしまえば良かったと思うんですよね。

私自身、こういった消化不良のなり方は初めてな気がします。そんでもって値段もそこまで極端に安くもないんですよね。妥当な尺で妥当な値段、と言うのがどちらも守られていなかったのは非常に残念な部分だと思いました。

ただ、中身の話をしますと、そう言った「投げ」た部分は抜きにすると、率直に面白かったという感想になります。

これは、読ませる(と言うより没入感を煽るような、或いは文学的な)文章だったというのもありますし、キャラクターもかなり興味を惹かせるようにできていましたし、ストーリーも、まさに一進一退の感じで、先の展開を想像できないようになっていたというのもあります。演出も良かったと思います。

作品としてのレベルは非常に高いと思います。だからこそ、私は終盤のよく分からない、と言うか「そんな終わり方でいいの? これで終わるの?」感が勿体ないと思いました。(単に私がこの作品を評価できていないだけかもしれませんが)

 

まとめとしては

現状、2023年に出た作品の中では私はこれしかやっていませんが、近年の作品で久しぶりに希望を感じました。

上述した通り、まだ荒削りな部分はありますが、本作のように、アングラ感と言うか、文学とエンタメの狭間のような感じと言うか、個性的と言うか、私の中での「これだよエロゲって」という感情を思い出させてくれるものが近年、しかも2023年という直近で現れてくれたのは非常に嬉しかったです。今後もぜひ頑張って欲しいと思いました。以上。寝ます。