徒然防備録(エロゲ、アニメ評価感想その他諸々)

更新は超不定期です。書きたくなった時にふと書いてます。参考になれば幸いです、なんて言ってる人は信用してはいけません。参考になれば幸いです。

絶対にオススメしたい名作アニメを発見した話。【彼方のアストラ】雑感

どうも、ややお久しぶりです。

今回は1年に1回ぐらいの頻度でやってるアレです。そうです、皆さんお分かりの通り(なわけない)、アニメの雑感記事です。

この記事でお話ししたいのは、


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「彼方のアストラ」

という作品についてです。

本文に入る前に、見ていない方向けに言っておきます。この作品は見る価値があると自信を持って言える作品だと思います。

以下、ネタバレを含むのでご注意ください。

 

 

 

 

 

結論から言いますと、これがまあとにかく良かったです。久しぶりかもしれません。ここまで文句のない作品に出会ったのは。

現状でのあくまで感覚としての話になりますが、間違いなく名作です。と言うよりも何本かの指に入っていいレベルの作品だと私は思いました。

何が良かったのか、書きながら整理していきたいのですが、何よりも私が高く評価しているのは物語の構成そのものです。いえ、まあ展開も非常に素晴らしいんですけど。展開と言うよりは、構成、つまり完成度というべきかもしれません。完成度が非常に高いんですが、それでいて作品の展開も何度も何度もある。

なんと言うんでしょうね。例えばですが、完成度としては非常に高い作品というものはまあいくつかあります。ですが、そう言った作品の完成度を語る段階に至るのは終盤、もっと言えば最後の最後ということが多いです。

一見して「何を言ってんだ?」って感じだと思います。そりゃ完成度語るのに最後まで見ないで語れるわけもなかろうという話ですから。それはその通りなんです。ですが、ここで言いたいのはそういうことではなく、

『完成度は高いけど最後の最後にその完成度の高さがあってようやく語れる作品』と、

『始めから完成度の高さを無視しても語れる作品』

というのでは価値が全く変わってきます。完成度という観点で評価をする作品の多くは、言ってしまえば終盤全振り、どんでん返し全力、みたいな印象が強いです。ではそう言った作品は果たして面白いのかというところにあります。確かにその終盤がめちゃくちゃに詰め込まれていて名作だった、となるものもあります。が、トータルの時間で考えてどうですか? 仮に終盤のそのめちゃくちゃに面白い部分が全体の尺の1割だとしましょう。この残った9割が面白いかどうかと言うのは非常に重要だと私は考えています。私は割かしビジュアルノベルの話をする人間なので基本的にその観点での話にはなりますが、これは別にどの媒体であれ同じことだと思います。アニメ、漫画、ゲーム、小説、何れにしても長ければ長いほど良いなんてことは全くもってないんです。重要なのは長さではなく、その物語に対して妥当な尺かどうかです。

個人的にですが、長さというのが価値を持つのはいわゆる感動系、もっと言うと死別だったりとかの物語だと思います。そのような作品の場合、長さというのは喪失感だったり悲壮感だったりを見ている側に感じさせる上で効果的ではあります。ですが、だからと言ってダラダラと長々と尺稼ぎみたいな中身のないことをしていて良いのかと言うと当然そんなわけはありません。あくまでその一場面、その一瞬の為にしか効果的ではないわけですから。

まあ話をまとめると、中身のないことをして尺を稼いで最後だけ良かったから名作、なんてのはふざけるなということです。最初だけ、最後だけではなく、トータルで考えてどうなのかというのが重要だと思います。つまり最後がめちゃくちゃに良い作品であればその最後に残りの9割が退屈でも良いと言わせるだけのものがあるのか、ということです。 

そう言った観点において本作は非常に素晴らしかったです。各話毎に(見ていて不快ではない)細かい展開があり、そして物語が進むにつれ、大筋にも展開がある。これは、はっきり言って、物語において完璧な構成だと思います。見ている側を退屈にさせるどころかどんどん次の話が気になって見たくなる、そんな作品でした。これが上述した完成度周りの話になります。

そして、この、完璧な物語を構成する上で必要な要素が、キャラクター性にあります。まあ端的に言うと不快か否かということなんですが、これは前提として個人差はあります。例えばツンデレは嫌い、クーデレは好き、みたいな好みがあるようにキャラクターの性格だって言ってしまえば好みで切り捨てられる部分ではあります。が、私は、必ずしもそうではないと思っていてある程度その好みを操作することは可能だと思うんです。

その手段として分かりやすいのは二種類あって、一つがこちら側を同情させることで、もう一つがどちらかと言うと重要で、そのキャラクターを無能にしないことです。

この二点目の話をするには、なろう系の作品が分かりやすいと思います。なろう系の基本的なスタイルとしては周りを下げることで主人公を有能そうに見えさせるというものです。つまり、主人公が有能なわけではないのですが、周りが無能すぎて相対的にそう思わせるというものですね。私はなろう系のこのスタイルが非常に気持ち悪くて嫌悪感しかありませんが、まあつまりこの逆をしていると考えてもらえればいいです。(逆というのも語弊はありますが)

本作はそう言ったことも無く、そのキャラクターを掘り下げる上で、必要となってくる過去についても物語の設定上、自然に語ることができます。これは上手いと思いました。

つまり過去の話で同情を買うにしろ何にしろ、その強引さだったり作者都合的なものを感じることが全くありません。だからこそ、こちらとしてもスッと抵抗感なくそのキャラクターの過去を飲み込むことができます。

キャラクター性という所でもう一点語ると、それは掛け合いの上手さですね。ここはさすがスケットダンスの作者だと思いましたが、全てが自然なんですよね。会話だったり「このキャラクターならこういうだろう」みたいなのが全て違和感がない。そういった個性の確立とその空間の構築能力とでも言うのでしょうか。そこも非常に上手い。

とまあ、ストーリー、展開、そして完成度という、お話を語る上で必須にもなる部分が文句の出ないぐらい完璧で、それでいて副次的要素として名作に求められる、キャラクターの個性の確立、これもできていたのが本作でした。

まあもう、なんて言うか……これ文句ないと思いません? 逆にどこにケチをつければ良いのか分かりません。

強いて言えばこれは完全に私の独善的な感想ですが、帰還後のサクセスストーリー的な部分が長すぎるかな、と思いました。エンディングは私はむしろ物足りないぐらいの方が余韻を残せて絶対に良いと思っているので、その後の部分を長くされると要は萎えるってやつです。まあここは確実に好みなので気にするほどでもありませんが、文句があるとしたらそんなぐらいでした。

まとめとしては、冒頭でも書きましたが、素晴らしいの一言です。

なんと言うか胃に残るような重さは無いのですが、頑張っていこう!みたいな気持ちになる作品でした(適当)。もちろん良い意味です。

ただただ褒め言葉しかありませんね。名作です。ありがとうございました。