徒然防備録(エロゲ、アニメ評価感想その他諸々)

更新は超不定期です。書きたくなった時にふと書いてます。参考になれば幸いです、なんて言ってる人は信用してはいけません。参考になれば幸いです。

キャラゲーとは何か。【サノバウィッチ】雑感

えー、まあ、何でしょう。何か言うのも嫌ですが言わないのもそれはそれで何か気持ち悪いので言っておきますと、(年明け早々偏屈)

明けましておめでとうございます。

気がつけば2024年ですか。定期的にこのブログを見てくださっている方々はどうも。今年も良い作品に出会えれば良いのですがどうも期待はできそうにありませんね。

そんなこんなで今回はタイトルにもあります通り「サノバウィッチ」という作品をプレイしての感想記事なわけですが、


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はじめに言っておきます。この作品は、私のような人間にはそもそも向いていない(と言うか需要がない)上に、いちいち文句を言う作品では無いということです。

私自身、その事は理解した上で感想をグダグダと書いていくということを断っておきますのでご了承ください。

以下、ネタバレを含みますので注意してください。

 

 

 

 

 

 

 

さて、まず経緯ですが、経緯としては、なんと言うか割と前から気になっていた、というのがまずあります。ゆずソフトの中でもかなり知名度が高い作品ですからね。それに最近また改めて知名度を上げたような印象です。その理由は、(周知されていることとは思いますが)一応名義的な話があるので具体的にはここでは触れませんが、某人気声優がメインヒロイン役の声優をされているというところです。で、まあそもそも、その声優さん、言っちゃうと「桐谷華」さん自体が何となく人気が高い印象ではありました。私自身、一応「創作彼女の恋愛公式」という作品でその声を聞いてはいたのですが、作品自体がボロっカス過ぎてそんな次元になかったので、その事はあとから知りました。そんでまあ、あれを含めないとして、ちゃんとその実力を確かめたいというか、まあ偉そうなこと言ってますが要は興味があったんですよね。えろげで人気のこの人はどんな感じの声なんだろう、と。で、まあそれを最も体感しやすいのがこの「桐谷華」さんの出演作の中でも超が2個か3個つくぐらいには有名な「サノバウィッチ」という作品だったわけです。

ついでにもう二つ()理由を挙げておくと、そもそもゆずソフトの作品を私がまともにやった記憶がないという理由(厳密には今よりもかなり前にめちゃくちゃ適当にやったようなやってないような記憶しかない)と、例のごとくセール中だったという理由がありました。 

とまあ、経緯としては、そんな所だったんですが、色々参考になりました。主に上述した理由でもあり目的は達成できたとは思います。悪い意味で……。

 

さて、中身に触れたいところなのですが、本作はそれほど中身という中身がありませんでした。それはなぜか?

その理由について書くにあたってエロゲにおける区分とはどうなっていると思いますか?あるいは、いわゆる「抜きゲー」と「エロゲー」の違いはなんだと思いますか?

つまり、この作品は何ゲーに当たるのか?ということです。ここの考え方でこの作品の評価は大きく変わるように思います。

私の事前知識としては、まあ「エロゲー」で、中でも「キャラゲー」だろうと。ゆずソフト自体その手の超老舗ですからね。しかし、蓋を開けるとそんなことはありません。最終的に私の中でこれは「抜きゲー」でした。

話は少し逸れますが、「キャラゲー」とはストーリーの面白さではなく、そのキャラクターと親密になっていってそのキャラクターをプレイヤー自身が好きになる作品だと私は思います。

そして「抜きゲー」とは、抜く、すなわち自慰行為のために存在している作品だと思います。

確かにキャラゲーと言うのも広い目で見れば、そうかもしれません。つまり抜きゲーに内包されているのかもしれません。そこは正直解釈次第です。だからこれはあくまで私の中での話ですが、「キャラゲー」と「抜きゲー」の違いをどこに設けるか。それは尺の長さではなく、主に次の二点です。

①キャラクターに深みや個性を感じることができるか。つまり感情移入をできるほどに掘り下げられているのか

②「Hシーンのためのストーリー」ではなく「ストーリーのためのHシーン」か。つまりHシーンに対する合理性はあるのか

 

①についてはまあ自明です。そりゃそうなんですよ。ストーリーで勝負しない時点でこれしかないんですから。

問題は②です。つまり、Hシーンのためにシナリオが描かれていないか、ということです。

例えば(まあよくありますが)、ヒロインと映画を見ていてキスシーンになった。その流れでキスをする。

まあ分かります。そのキャラクター、もしくは二人の関係性や親密さにも依りますが納得できます。

でもここで問題なのはそういうことでは無いんです。そこまでの経緯です。つまりこの例で言うと、『じゃあ何で二人で映画を見に行っているの?』というところです。

例えばこの理由が、『福引で映画のチケットが当たった』『友人から偶然もらった』なら分かります。

でも、もし『何かよく分からんけど映画館にいた』ならどうですか?こんなの無茶苦茶でしょう。

すみません。回りくどいし分かりにくいことを言いましたね。(私自身脳内でまとめながら書いているのでうまく書けなくて我ながら無能さに呆れる部分ではあります)

とにかく、『こういう経緯があって、この関係性で、それならHするのも納得出来る』というものであってほしいんです。そこで「抜きゲー」との差別化ができるわけです。

例えばこれはAVの冒頭のインタビューとかもそうですよね。あれは少し違いますけど、結果としてそういった背景があることで、より没入感が増すわけです。 少なくとも突然ズコバコやるよりは良いです。

この例えで言うなら、「抜きゲー」というのは開始1秒で挿入ということです。逆に「キャラゲー」というのは、じっくりインタビューだったり前戯だったりをしてそこから挿入ということです。

こう書けばキャラゲーと抜きゲーの違いは誰しも分かると思います。でも事はそれほど単純ではないです。ここまで分かりやすければ良いんですがね。

では今度は、

『そもそもキスするために映画館に行っている』という場面があるとしましょう。アホみたいなことを言いますが、じゃあキスをすることに必然性はあるのでしょうか。ありますよね。そのために映画館に行っているんですから。では聞き方を変えます。

『キスシーンを見てしまってそれがきっかけとなってキスをする』

『キスをするために映画を見て、結果的にキスをする』

この二者は結論だけ見れば同じです。でもどっちのストーリーの流れがキャラゲーあるべきかは必然ですよね。この二つの違いが上述した経緯というところです。

つまり結果的にそうなってしまったのと、そのつもりでそうなった、では全く話が違うんです。

まあ長々と語ってきましたが、シナリオそっちのけ、キャラそっちのけで端からHだけするなら抜きゲーでいいんですよ。

であるにもかかわらず、これをキャラゲーという肩書きでやっているのが本作です。なので結論として私はこれは「抜きゲー」だと言いました。

エロゲにおける「キャラゲー」の需要って言うのは「抜きゲー」よりもキャラクターに対する思い入れ、感情移入があって、そんなヒロインとイチャイチャしてHまでできる、ということにあると思います。まあこれが要するに先程の①と②ですね。

「サノバウィッチ」のことに話を戻すと、本作は①も②もまあひどいです。

①は、キャラゲーを名乗ってはいけないほどに没個性的なヒロインばかりです。上辺だけの設定だけで、どのようにして主人公とヒロインが惹かれていくのか、そこから二人はどうなっていくのか、そんな言わば二人の世界が全くと言っていいほど広がっていない。

そもそも全員弁当を作るし、全員好き好き大好きだし、じゃあなぜ好きなのかと言うと、ちょっと(ストーリー上の1.2時間程度)二人で何かを経験したから。

呆れました。正気ですか?

顔と声が違うだけで身ぐるみ剥いだら全員一緒ですよこんなん。しかも大した経緯もなしにめちゃくちゃに好き好き言ってくる。ネタじゃないとしたら冒涜ですよこんなの。これで思い入れ?感情移入?あるわけがない。何のエピソードもないのにずっと好き好き言っているだけです。 私はもはや恐怖すら覚えました。

それに「結婚する」だの「一生愛してる」だのの言葉の軽さも相まって安っぽいにも程がある。アホかと。悪寒が走るとはこのことですね。

②についてですが、個別シナリオに入ってから全ヒロイン基本的に長くても2時間以内には好き好き大好き状態になります。もちろんフルオートです。

ですが、各ルートのシナリオはサブヒロインを除くと8時間程度はあります。じゃあ残り6時間何をしてるの?って話です。正解はずっとHです。なんやかんやうっすいHするための口実(というかシナリオ)を用意してはHする。それだけ。

これ抜きゲーじゃなくて何なの?と思ってしまいました。

そもそも、この一番の原因は、結ばれるまでが短すぎるところにあると思います。

魅力のないナヨナヨ系クソ主人公との間に2時間で何が生まれるんでしょうか。せめてもう少し納得ができて、かつ、個性的なシナリオにするべきではないでしょうか。それに愛の形も一つではないはずなのに、本作のヒロインは一辺倒です。はっきりいってこれをやるよりは、最初から抜きゲーをやる方が余程ましだと思います。あまりにもどの方面で考えてもコスパが悪すぎます。

 

まとめですが、

まさかここまでとは思っていなかったので酷くショックでした。有名ブランドの、しかもその中でもかなり有名で人気の作品がこんな程度か、と。この作品が、いえ、このブランドの作品は、キャラゲーを語るなんてしていいわけがありません。

今回、この作品をやって分かったこと。

それは、確かに「桐谷華」さんの声は可愛いということ。

そしてもう一つは、ゆずソフトのゲームはコスパが悪すぎるということ。

以上が学べたのは数少ないメリットだと思います。私は二度とゆずソフトのゲームはやりません。約60時間という超特大の時間を他のシナリオゲーだったりキャラゲーに当てておけば良かったと死ぬほど後悔しています。

時間を潰したい人……にもオススメできませんよね。なんせストーリーもむちゃくちゃですから。ドラえもんに科学を求めるのと同じように、この作品に整合性を求めることは見当違いも甚だしいのでいちいち触れませんが、少なくとも私はキャラゲーをやるなら「月に寄りそう乙女の作法」をオススメします。

ゆずソフトの中でもこの作品が特にひどいと言うだけであればいいんですけどね……。とにかく私は時間の無駄だと感じたのでもうしません。

 

それではまた次の記事で。良いお年を〜。(永眠)