徒然防備録(エロゲ、アニメ評価感想その他諸々)

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アイディアとしては面白い。が、それだけ【ChronoBox -クロノボックス-】感想


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さて、今回は『ChronoBox』という作品についての感想記事です。前置きもなしで、早速本題に入ります。

※以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

まずそうですね、何から語るべきか。何というか『勿体ない』というのが第一に浮かびました。そしてそれがこの作品に対する感想の全てでしょう。

前提として、良かったとは思うんですよね。具体的には作品の設定等含む完成度という部分で。ここはまあ正直何よりも重要ではあるのでここが良かったっていうのは間違いなく最上級の褒め言葉です。

しかし、残念なことにそれに対する感情という部分では物足りない。『設定は深いんだけど、魅せ方が足りていない』、簡単に言うとそんな感じです。

まず本作はざっくり25時間程度の作品で、構成としては前半と後半の二つに分けられるでしょう。その内訳としては前半が20時間程度なのに対して後半が5時間程度という、圧倒的な比率の偏りがあります。そして、本作の構成上、この後半部分にこそ面白い要素、つまり謎が明かされたり、違和感のあった部分の伏線が回収されたりというくだりがあります。逆に言うと前半部分というのは、そのための伏線や謎を張り巡らせる部分なわけです。

例えばですが、

ある謎があって、その謎が解決して、また新たに謎が生まれて、そして最後に全体の謎が明かされる……

というような構成だったとします。(まあ実際にこういう風にするのが難しいことは重々承知していますが)

こういった場合、前半部分にも見所があるということがわかると思います。ですが、本作の場合全くもってそんなことはありません。謎が回収されるどころか手当たり次第に疑問を次々と足されていって、こっちはもうキャパオーバーというか、抱えきれない謎まみれの状態で読み続けなくてはいけません。しかもそのストーリーは『ループする世界でなぜか主人公が次々にヒロインと結ばれていく』という極めて退屈な展開。その経緯も過程もとにかく薄く、と言うか前半部分におけるほとんど全ての場面は見るに堪えない退屈さです。

なぜか、理由は簡単です。プレイヤーとしては最初に与えられた疑問の答えを探している。にも関わらずストーリーは答えどころか、ましてその手がかり(厳密には伏線的要素はありますが、考察できるための要素とは到底言えない不公平さ)すら与えられず、延々とこの退屈な、明らかに異常な学園生活を見せ続けられるんです。しかも主人公はその真実を見つけようとすらしない。

分かりますよね。これではプレイヤーの願望とストーリーが圧倒的に乖離している。だから退屈なんです。

ここが本作の一番勿体ないところだったと思います。確かに設定は深い、よく考えられている。でも4/5にストレスを伴う作品を果たして名作と呼べるのでしょうか。これはまあありがちと言えばありがちな問題ではあるんですが、こういったとても大きな設定が隠されている作品の場合、『終盤は良いけどそこ以外があまりにもつまらない』というやつです。

そこが勿体ないです。プレイする人間の立場で作品を客観視できず、ただその設定という部分のみで作品化してしまうとこういうことになります。

逆に言うと、もっとその辺りを考えていれば評価は上がったと思います。

 

そしてもう一点。それは謎を明かす時の盛り上げ方です。後半の謎を明かすときにしたって冗長的で、まるで雰囲気がありません。感情が動きません。 淡々とその事実を伝えるだけでは盛り上げることはできません。

例えば、怖い話だっておどろおどろしい雰囲気で、恐怖心を煽る語り口でやらなければやはりその怖さは薄れてしまうでしょう。何だってそうです。雰囲気は大事です。特にここまで作品の価値が後半に比重が傾いている作品であれば尚更に。

 

と言っても、私がここまで言ってきたことは作品の形式上難しいでしょう。前半の退屈さも構成上、仕方の無いことでしょう。

それはわかります。ですが、それはそもそもの構成に問題があります。そして仮に構成を変えないにしても前半の部分ももう少しテンポよくするべきでしょう。この辺りがプレイする人のことを考えられていない。

こういったストレスの感じ方は久しぶりではありましたが、そういったことを思い出させてくれる作品でしたね。

 

あと余談ですが、Hシーン多すぎ。(数えると42シーンあった)

ここまで多い作品は私は初です。まあ必要かと言うのは分かりませんが。

 

最後に言っておくと、別にめちゃくちゃキレてるとかそういうわけでは全くもって無いんです。感情の振れ幅で言うと平常値を50として50そのものです。

なんと言うか……こういう、エログロ系と言えばいいんでしょうか。そこに挑戦した努力とそして安易では無い展開は素晴らしいと思います。ただ演出と構成が残念。故に『勿体ない』。以上。